修了考査:継続家賃

記憶の三原則 ①繰り返す ②関連付ける ③ちゃんと寝る

不動産鑑定士になるための最後の関門である修了考査(口頭試問)の対策です!!

継続家賃についての質問

対象不動産の確定・確認について

Q.評価対象部分と数量の根拠は?
評価対象部分は●造●屋根●階建て●●(用途)ビルの●階部分

賃貸借契約書により契約数量を確認でき、入手できた資料のなかで最も信頼性が高いと判断した。
Q.土地のセットバック面積はどのようにして調べたのか?
①役所において狭隘協議図面を入手してこれにより概算を行った。
現地ともおおむね一致している。

②建築指導課において対象不動産の両隣及び向かいの不動産の建築計画概要書を入手して面積を概算した。
Q.(セットバックの場合)後退杭はあったか?
①後退杭を●●ヵ所確認した。

②後退区は現地にて確認できなかった。
Q.確認資料をそれぞれどこで入手した?
(答えられるように)
Q.道路はどこで何を調査したのか?
①区道の場合
●●役所の道路管理課にて道路種別、幅員、路線番号、境界確定の有無を調査した。

②都道の場合
第●建設事務所にて幅員、境界確定の有無を調査した。

③国道の場合
国道事務所にて幅員、境界確定の有無を調査した。

④私道の場合
公図、登記記録等により所有者及び筆を確認。現地にて道路幅員を歩測した。
両隣及び向かいの不動産の建築計画概要書も確認を行った。
Q.●●区役所はどこにあったか?
(答えられるように)
Q.道路境界は確定しているのか?どこで確認した?
①区道の場合:確定していることを●●役所の道路管理課にて確認した。

②都道の場合:確定していることを第●建設事務所にて確認した。

③国道の場合:確定していることを国道事務所にて確認した。
Q.第●建設事務所はどこにあったか?
(答えられるように)

第1建設事務所:『新富町駅』から徒歩3分ほど
(千代田・中央・港区)

第2建設事務所:『大井町駅』から徒歩6分ほど→品川区役所内
(品川・目黒・大田・世田谷・渋谷区)

第3建設事務所:『中野駅』から徒歩5分ほど→中野区役所内
(新宿・中野区・杉並区)

第4建設事務所:『大塚駅』から徒歩5分ほど
(豊島・板橋・練馬区)

第5建設事務所:『亀戸駅』から徒歩8分ほど
(墨田・江東・葛飾・江戸川区)

第6建設事務所:『北千住駅』から徒歩8分ほど
(文京・台東・北・荒川・足立区)
Q.インフラは何をどうやって調査した?
ガスについてはガス本管埋設状況確認サービスにて確認

下水道については下水道局にて下水道台帳を確認(ネットで見れるが行った方がベター)

上水道については水道局営業所にて水道菅管理図を確認(ネットには公開されていない)

電気については東京電力で引込みの可否を確認(都内の案件なら言わなくていいかも)
Q.水道局営業所はどこにあったか?
(意外と聞かれているので答えられるように)

千代田営業所:神田駅から徒歩5分

港営業所:赤羽橋駅から徒歩2分

新宿営業所:新宿御苑前駅から徒歩5分

文京営業所:東大前駅から徒歩5分

墨田営業所:森下駅から徒歩5分

江東営業所:東陽町駅から徒歩10分

品川営業所:荏原中延駅から徒歩10分

目黒営業所:祐天寺駅から徒歩10分

大田営業所:平和島駅から徒歩20分

世田谷営業所:経堂駅から徒歩10分

渋谷営業所:笹塚駅から徒歩1分

中野営業所:東中野駅から徒歩15分

杉並営業所:永福町駅から徒歩5分

豊島営業所:池袋駅から徒歩5分

北営業所:赤羽駅から徒歩7分

荒川営業所:南千住駅から徒歩10分

板橋営業所:板橋区役所前駅から徒歩5分

練馬営業所:練馬駅から徒歩12分

足立営業所:五反野駅から徒歩10分

葛飾営業所:青砥駅から徒歩7分

江戸川営業所:船堀駅から徒歩7分
Q.土壌汚染関係はどのように調べた?
役所調査、過去地図調査、閉鎖登記簿により調査を行った。

環境課において、土壌汚染対策法、下水道法、水質汚濁防止法、東京都環境確保条例等に基づく区域指定、特定施設等がないことを確認した。

また、過去地図・閉鎖登記簿により従前建物の構造・用途を調査し、土壌汚染が存する可能性が低いと判断した。
Q.従前の利用用途は何だったか?
過去の住宅地図で従前の利用状況を●●と確認した。
Q.埋蔵文化財関係はどこでどのようにして調べた?
教育委員会等において周知の埋蔵文化財包蔵地でないことを確認した。
Q.地区計画はどのような内容か?
(地区計画の内容を答えられるように)

(最有効使用への影響、取引事例収集の範囲等を意識する)
Q.地質、地盤は調べた?
東京都建設局が公開している「東京の地盤」により付近の柱状図を確認した。

結果、地盤・地質は○○である。
Q.浸水履歴やハザードマップは調べたのか?
●●区役所防災課において○○年からの浸水履歴を調べた。結果は・・・

ハザードマップは区のHPに公開されているので閲覧した。●●川が氾濫した場合○○mの浸水が予想される。
Q.権利の態様をどのようにして確認した?
登記事項証明書を用いて所有者を確認し、土地賃貸借契約書により、賃貸人、種類、目的、期間、地代等の概要を確認した。
Q.周辺の家賃相場はいくらくらいか?
収集した賃貸事例や各種オフィス賃料レポートによりエリアの家賃相場を把握した。

結果、地域の相場は○○円/㎡ほど。
Q.家賃相場と現行家賃を比較してどうか?
現行家賃は相場よりやや低い。

(ここで相場通りと言ってしまうと「では現行家賃に上がる余地はありませんよね」と返されてしまうので、現行家賃は相場より安く相当性の回復をする必要があることを説明する)
Q.敷金・礼金はどれくらいあった?
(実際実質賃料の計算に必要であるため答えられるように)
Q.更新料はある?
(答えられるように)
Q.更新料はどのように取り扱った?
(更新料の性格と絡めて実際実質賃料を構成するのか否かを説明する)
Q.直近合意時点はいつ?
(答えられるように)
Q.契約締結から現在の経緯を説明してください
(契約締結時からの賃料改定の間隔や経緯などを説明する)
Q.対象不動産の周辺の利用状況はどうだった?
(周辺建物の用途、規模、構造等を答えられるように)
Q.標準的使用は何だと考えた?
(標準的使用を答えられるように)
Q.現地調査で具体的に何をした?
土地については間口、奥行、傾斜、高低差、境界標を現地にて確認し、また異臭・地下埋設物等が存する可能性がないかも現地で確認した。

建物については登記記録用途と概要書・記載事項証明書の用途と照合し、違法増改築とうがないことを確認した。また維持管理の状態や修繕状況について観察した。
Q.評価対象部分を内覧したか?
(正直に答える)
Q.(内覧した場合)具体的に何をみた?評価にはどのように反映させた?
内装、間取、配置、修繕の状況、維持管理の状況、設備の状況等を確認した。

評価に当たって、原価法においては経済的残存耐用年数の判定や観察原価法の適用に反映させ、収益還元法においては維持管理費や修繕費、資本的支出に反映させた。
Q.(内覧してない場合)内覧できなかったのになぜ評価ができるのか?(圧迫的に)
内覧は賃借人の許可が得られず行うことができなかったが、その代わり依頼者から建物内部の写真を入手し、維持管理の状態や設備の状況を確認できた。

また間取り図や竣工図面を入手できたので評価対象部分について合理的な推定が行えた。
Q.同一需給圏について記載の内容にもう少し補足してください
(内訳書あるいは評価書記載の事項に補足を求められるので答えられるように)
Q.地域分析をどのように行った?
まず近隣地域を判定したうえで、典型的需要者を把握し、当該需要者の観点から代替競争関係が成立する地域として判定した。

具体的には賃料水準の動向や地域的選好性を重視した。
Q.近隣地域はどのような観点で判定した?
対象不動産周辺を歩き回り、建物の連たん性や繁華性(あるいは住環境)、路線価等に着目して判定した。
Q.個別分析をどのように行った?
対象不動産について典型的需要者を判定したうえで、当該需要者の観点から個別的要因を分析して最有効使用の判定を行った。
Q.市場の需給動向の状況は?
(『地価LOOK』や各種マーケットレポートを参考に案件に沿った回答ができるように)
Q.評価方針は?
差額配分法、利回り法、スライド法を適用し、賃貸事例比較法は継続地代に係る事例の収集が困難であったため適用しない。

 

差額配分法

正常実質賃料の査定

Q.正常実質賃料をどのように査定したか?
積算法及び賃貸事例比較法により査定した。

積算法は基礎価格に期待利回りを乗じて必要諸経費を加算して求め、賃貸事例比較法は同一需給圏内の賃貸事例を収集し、各種補修正を行って求めた。
Q.積算法と賃貸事例比較法のどちらを重視したのか?
(資料の質・量によるが、賃貸事例比較法の方が説得力が高い)
Q.積算法について基礎価格とは何か?
基礎価格は元本から果実を求める際の元本であり、契約により最有効使用が阻害されている場合には契約減価を考慮した価格。
Q.基礎価格をどのような手法で求めたのか?
原価法により求めた。(取引事例比較法は建物要因の比較が困難であるため適用しない)
Q.土地取引事例はどうやって収集したか?
レインズや鑑定協会の取引事例カードから収集した。

(「指導鑑定士からもらった」はNG)
Q.取引事例の数量根拠は何か?
登記記録を採用した。取引事例の登記事項証明書を取得し、確認した。
Q.どのような事例を選択したのか?
対象不動産と道路幅員、繁華性、住環境、容積率等が類似する取引時点の新しい事例。
Q.事例との規模格差をどのように考えたのか?
(考え方による)
Q.時点修正率をどのように査定したのか?
対象不動産と類似する地価公示の変動率をもとに査定した。
Q.特に重視した事例とその理由は?
(答えられるように)
Q.個別的要因とその評点の理由は?
(答えられるように)
Q.公示価格はどこか?どんな建物が建っていたか?
(テナントまで聞かれることもあるので答えられるように)
Q.なぜその公示地を選んだのか?
対象不動産との位置関係、用途、規模、前面道路幅員、容積率、環境等の類似性から選択
Q.建物再調達原価はどのように査定したか?
直接法
①実際の建築費に建築デフレーターで時点修正を行って査定した。
②ERによる建物再調達価格を建築デフレーターで時点修正をして、さらに設計管理料を加算して査定した。

間接法
①『JBCI』により査定した。
②『収益還元法適用上の運用指針等』により査定した。
③『建物の鑑定評価必携』により査定した。
Q.配分率はどのように求めたか?
位置別・階層別効用比から求めた。
Q.位置別・階層別効用比をどのように考えたか?
(位置:角部屋やエレベーターまでの距離を評点で説明)

(階層:プライバシーや日照や専用庭等を評点で説明)
Q.期待利回りはどのように求めたのか?
①金融資産の利回りに不動産の個別性を加味する方法

②類似の不動産の取引事例との比較から求める方法
Q.還元利回りと期待利回りの違いは何か?
還元利回りは果実から元本を求める際の利回りであり、市場競争によって決まる利回りであるのに対し、期待利回りは元本から果実を求める際の利回りであり、市場の利回り水準を見て決まるものである。

また還元利回りが償却前純収益に対応する利回りであることが多いのに対して、期待利回りは償却後純収益に対応する利回りである点も異なる。
Q.必要諸経費には何を計上したか?
減価償却費・維持管理費・公租公課・損害保険料・貸倒準備金・空室等損失相当額
Q.賃貸事例比較法について事例はどのように収集した?
レインズ・アットホームにて成約賃料事例を収集した。

(指導鑑定士からもらったはNG)
Q.時点修正はどのように行った?
『オフィス賃料指数』などのデータに基づき時点修正率を査定した。
Q.選択した事例と評価対象部分の面積は類似しているか?
(オフィスの場合、面積が変わると賃料相場も大きく変わってくるため類似する事例を選択するべき)
Q.(オフィスについて)表通りと裏通りの事例の格差をどのように考えたか?
20%~30%格差があると考えた。

賃料差額の配分及び試算賃料

Q.実際実質賃料はどのように求めたのか?
実際支払賃料に下記を加算して求めた。

a.敷金の運用益更新料の運用益
b.礼金(敷金のうち償却額)の運用益及び償却額
c.更新料(のうち貸主が受け取る部分)の運用益及び償却額を加算して査定した。
Q.賃料差額発生の理由は?
(『諸般の事情』と『事情変更』の観点から答えられるように)
Q.賃料差額の配分方法は?またその理由は?
(折半法、1/3法等その理由を答えられるように)
Q.賃料差額のうち賃貸人に帰属する部分とは何か?
賃貸人に帰属する部分とは、賃料差額のうち賃貸人が適切に建物維持管理・修繕を行うことにより対象不動産の効用を持続させること等による部分。

(一方賃借人に帰属する部分は賃料差額のうち賃借人が建物を使っていることにより地域の繁華性に影響を与えること等による部分)
Q.差額配分法の長所・短所は?
長所は元本の用益の増減を反映している点で説得力を有すること。

短所は差額の配分についての判断が困難であること。

利回り法

Q.利回り法の概要を説明して
利回り法は価格時点における基礎価格に継続賃料利回りを乗じて、価格時点における必要諸経費を加算して試算賃料を求める手法。
Q.継続賃料利回りはどのように求めたのか?
直近合意時点の純賃料利回りを踏まえ、期待利回りや各地代改定時の支払地代利回りを総合的に勘案して査定した。
Q.直近合意時点の純賃料をどのようにして求めたのか?
まず直近合意時点の年額実際実質賃料を求め、そこから直近合意時点の公租公課を控除して求めた。
Q.利回り法の長所・短所は?
契約の個別性を反映できる点が長所である。

一方地価の急騰時には機能しがたい点が短所である。

スライド法

Q.スライド法の概要を説明して
直近合意時点における純賃料を求め、これに変動率を乗じて価格時点における必要諸経費を加算して試算賃料を求める手法。
Q.重視したスライド指数とその理由は?
(答えられるように)
Q.スライド法の長所・短所は?
客観的な公表データを活用しているので公平かつ説得力がある点が長所である。

一方短所は契約の個別性が反映しにくく、また地代が長いこと据え置かれている場合には機能しがたい。

試算賃料の調整

Q.試算賃料の乖離の理由はなぜか?
継続賃料手法は三面性に基づくものではなく、相当性の回復を目的とするもので異なるアプローチから試算賃料を求めているため乖離が発生したと考えられる。
Q.継続家賃の総合的勘案事項をどのように勘案したか?
(答えられるように)
Q.どの試算賃料を重視したか?またその理由は?
(答えられるように)
Q.資料の相対的信頼性はどのように考えたか?
差額配分法においては正常実質地代の査定においては豊富な取引事例から基礎価格を求めており、資料の質・量ともにやや優る。

利回り法は直近合意時点の基礎価格や必要諸経費を裏付ける確認資料が乏しく資料の質・量ともにやや劣る。

スライド法は変動率の査定において、公表された各種指標を豊富に入手でき資料の質・量ともに優る。
Q.各手法に共通する要因の整合性について説明してください。
各手法における必要諸経費は同一のものを使用している。